作業環境測定士とは、有機溶剤・特定化学物質・放射性物質・鉱物性粉じん・金属類を取り扱う作業場で、有害物質を作業環境測定法に基づいて測定し、労働者の健康を守るための業務を行う国家資格です。

ここでは、第一種作業環境測定士の多岐に渡る受験資格と試験内容や気になる合格率、難易度についてお伝えします。

資格または検定試験名(正式名称と通称)

資格または検定試験名(正式名称と通称)

作業環境測定士:(国家資格 業務独占

作業環境測定士には、第二種作業環境測定士と第一種作業環境測定士の\(\,2\,\)種類があり、資格取得には、国家試験の合格と登録講習の修了、作業環境測定士の登録が必要です。

●第二種作業環境測定士
第二種作業環境測定士は、デザイン(策定計画の立案)やサンプリング(資料の採取と分析の下準備)と簡易測定機による簡単な分析作業のみができます。

 ⇒ 作業環境測定士(第二種)の受験資格と試験内容および合格率や難易度

●第一種作業環境測定士
第一種作業環境測定士は、デザイン(策定計画の立案)やサンプリング(資料の採取と分析の下準備)と簡易測定器での分析や解析などすべての業務を行うことができます。

また\(\,5\,\)つの「鉱物性粉じん・放射性物質・特定化学物質・金属類・有機溶剤」という有害物質については、それぞれ独立した資格となります。

受験資格

\(\,1.\,\)大学・短期大学・高等専門学校(専修学校・各種学校等は含まれない)において理科系統の正規の課程を修めて卒業し、その後\(\,1\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,2.\,\) 理科系統の正規の課程を修めて専門職大学の前期課程を修了し、その後\(\,1\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,3.\,\) 高等学校・中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業し、その後\(\,3\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,4.\,\) 大学・短期大学または高等専門学校(専修学校・各種学校等は含まれない)において理科系統の正規の課程以外の課程を修めて卒業し、その後\(\,3\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,5.\,\) 理科系統の正規の課程以外の課程を修めて専門職大学の前期課程を修了し、その後\(\,3\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,6.\,\) 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与され(理科系統の正規の課程以外の課程を修めた者)、その後\(\,3\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,7.\,\) 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与され(理科系統の正規の課程以外の課程を修めた者)た人と同等以上の学力を有し(①~③のいずれかに該当)、その後\(\,3\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人
①防衛大学校(理科系統以外の専門学科)、旧法令による同等の大学校を卒業した人
②専修学校の専門課程(修業年限\(\,2\,\)年以上かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が\(\,1700\,\)時間以上)を修了した人(大学入学資格を有する人に限る)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位(理科系統以外)を授与されるのに必要な所定の単位を修得した人
③文部科学大臣の指定を受けた専修学校の専門課程(修業年限\(\,4\,\)年以上、理科系統以外の学科)を所定の日以後に修了した人など、学校教育法施行規則第155条第1項に規定する人
\(\,8.\,\) 高等学校・中等教育学校において理科系統の正規の学科以外の学科を修めて卒業し、その後\(\,5\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,9.\,\) 高等学校卒業程度認定試験に合格した人・外国において学校教育における\(\,12\,\)年の課程を修了した人など学校教育法施行規則第150条に規定する人で、その後\(\,5\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,10.\,\) 学校教育法施行規則第150条に規定する人と同等以上の学力を有すると認められる人で、その後\(\,5\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,11.\,\) 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与され(理科系統の正規の課程を修めた者)、その後\(\,1\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,12.\,\) 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与され(理科系統の正規の課程を修めた者)た人と同等以上の学力を有し(次の①~③のいずれかに該当)、その後\(\,1\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人
①職業能力開発総合大学校(長期課程又は総合課程)・防衛大学校(理科系統の専門学科)・防衛医科大学校・水産大学校・海上保安大学校・気象大学校(大学部)・国立看護大学校(看護学部看護学科)を卒業(修了)した人
②専修学校の専門課程(修業年限\(\,2\,\)年以上かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が\(\,1700\,\)時間以上)を修了した人(大学入学資格を有する者に限る)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位(理科系統)を授与されるのに必要な所定の単位を修得した人
③文部科学大臣の指定を受けた専修学校の専門課程(修業年限\(\,4\,\)年以上、理科系統の学科)を所定の日以後に修了した人など学校教育法施行規則第155条第1項に規定する人

\(\,13.\,\) 応用課程の高度職業訓練(理科系統の専攻学科)または専門課程もしくは特定専門課程の高度職業訓練(理科系統の専攻学科又は専門学科)を修了し、その後\(\,1\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,14.\,\) 普通課程の普通職業訓練(理科系統の専攻学科または専門学科)を修了した人で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,15.\,\) 専修訓練課程の普通職業訓練(理科系統の専門学科)を修了し、その後\(\,4\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,16.\,\) 職業訓練の検定職種のうち、一級、二級または単一等級の技能検定(理学、工学の知識を必要とするものに限る)に合格し、その後\(\,1\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,17.\,\) \(\,8\,\)年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する人

\(\,18.\,\) 測定法施行規則第17条の各号のいずれかに該当する人

\(\,19.\,\) 技術士試験の第二次試験に合格した人

\(\,20.\,\) 産業安全専門官・労働衛生専門官・労働基準監督官またはその職務にあった人

※受験資格は多岐に渡り細かく規定されていますので、安全衛生技術試験協会HPで必ず確認してください。

取得済み資格による試験が免除(一部または全部)

作業環境測定士の国家試験は、次の取得済みの資格などにより一部または全部の試験が免除されます。

■医師・歯科医師・薬剤師
■環境計量士(濃度関係)
第一種衛生管理者衛生工学衛生管理者
■核燃料取扱主任者・原子炉主任技術者・第一種放射線取扱主任者
■臨床検査技師
■診療放射線技師
技術士(化学・金属・応用理学・衛生工学)
■衛生検査技師
■公害防止管理者(騒音、振動を除く)・公害防止主任管理者
労働衛生コンサルタント
■労働衛生専門官・労働基準監督官
■技能照査+高度職業訓練(化学システム系環境化学科)修了
■職業訓練指導員(化学分析科)
■化学分析1級・2級技能検定合格者

※免除科目など詳しくは、安全衛生技術試験協会HPで必ず確認してください。

第一種の試験内容

第一種作業環境測定士には5種類あり、試験は選択科目別に行われます。
鉱物性粉じん(石綿等を含みます)に係る第一種作業環境測定士
放射性物質に係る第一種作業環境測定士
特定化学物質(金属であるものを除く)に係る第一種作業環境測定士
金属類(鉛及び金属である特定化学物質)に係る第一種作業環境測定士
有機溶剤に係る第一種作業環境測定士

試験科目は「選択科目」と第二種作業環境測定士が受験する科目と全く同じ「共通科目(\(\,4\,\)科目)」を受験します。

出題形式:\(\,5\,\)肢択一式
試験科目・試験時間:
【第一日目(共通科目)】
・労働衛生一般(衛生一般)\(\,60\,\)分
・労働衛生関係法令(関係法令)\(\,60\,\)分
・作業環境について行うデザイン・サンプリング(デザイン)\(\,60\,\)分
・作業環境について行う分析に関する概論(分析概論)\(\,60\,\)分

【第二日目(選択科目)】
・有機溶剤 \(\,60\,\)分
・鉱物性粉じん(粉じん)\(\,60\,\)分
・特定化学物質(特化物)\(\,60\,\)分
・金属類 \(\,60\,\)分
・放射性物質(放射線)\(\,60\,\)分

合格基準:科目ごとに\(\,60\,\)%以上の得点
「選択科目」が合格点に達しない場合は、第一種作業環境測定士試験に合格できません。
しかし、「共通科目」の\(\,4\,\)科目すべてが合格点に達している場合は、第二種作業環境測定士試験に合格した取扱いとなり、
「作業環境測定士講習」「登録」を経て第二種作業環境測定士となることができます。

また、\(\,2\,\)年以内に再度第一種作業環境測定士試験を受験する場合は、「共通科目」は免除となり「選択科目」のみの受検となります。

第一種の試験頻度および日時や時期

年\(\,1\,\)回実施  \(\,8\,\)月(\(\,2\,\)日間)

※詳しい日程は、安全衛生技術試験協会HPで確認してください。

願書の申込期間

\(\,5\,\)月~\(\,6\,\)月
願書(受験申請書)は、安全衛生技術試験協会・各地区の安全衛生技術センターおよび関係機関で配布されます。

※配布開始の日時は、安全衛生技術試験協会HPで確認してください。

第一種の試験会場

全国\(\,7\,\)ヶ所の安全衛生技術センター
(北海道・宮城県・千葉県・愛知県・兵庫県・広島県・福岡県)と東京都
・北海道安全衛生技術センター
・東北安全衛生技術センター
・関東安全衛生技術センター
・中部安全衛生技術センター
・近畿安全衛生技術センター
・中国四国安全衛生技術センター
・九州安全衛生技術センター
・東京都内(フォーラムエイト)

第一種の受験料

●共通科目+選択科目を受験する場合
【\(\,1\,\)科目選択】\(\,13,900\,\)円
【\(\,2\,\)科目選択】\(\,17,200\,\)円
【\(\,3\,\)科目選択】\(\,20,500\,\)円
【\(\,4\,\)科目選択】\(\,23,800\,\)円
【\(\,5\,\)科目選択】\(\,27,100\,\)円

●共通科目は全て免除で選択科目のみ受験する場合
【\(\,1\,\)科目選択】\(\,10,600\,\)円
【\(\,2\,\)科目選択】\(\,13,900\,\)円
【\(\,3\,\)科目選択】\(\,17,200\,\)円
【\(\,4\,\)科目選択】\(\,20,500\,\)円
【\(\,5\,\)科目選択】\(\,23,800\,\)円

第一種の過去数年の平均合格率および難易度

【2018年度】
受験者数:\(\,1,100\,\)人  合格者数:\(\,718\,\)人  合格率:\(\,65.3\,\)%

【2017年度】
受験者数:\(\,1,131\,\)人  合格者数:\(\,804\,\)人  合格率:\(\,71.1\,\)%

【2016年度】
受験者数:\(\,1,096\,\)人  合格者数:\(\,651\,\)人  合格率:\(\,59.4\,\)%

高いハードルの受験資格を満たした後に受ける試験の平均合格率(過去数年)は約\(\,65\,\)%前後で、二人に一人が受かるという状況なので難易度は中程度と言えます。

主催・試験実施団体

名称:公益財団法人 安全衛生技術試験協会
住所:東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館9F

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