公害防止管理者とは、特定の工場において大気汚染・水質汚濁・騒音・振動などの公害を防止するために、必要な業務を管理する技術者です。

資格を取得するには2つの方法がありますが、ここでは、騒音・振動関係の国家試験の日程と概要や気になる合格率や難易度についてお伝えします。

資格または検定試験名

公害防止管理者:(国家資格 必須

公害防止管理者の資格を取得するには国家試験に合格する方法と、認定講習を受講し修了試験に合格する\(\,2\,\)つの方法があります。

 ⇒ 公害防止管理者(騒音・振動関係)資格認定講習の受講資格や日程と概要

\(\,2\,\)つの方法のどちらで資格を取得しても、免許証や登録手続きはありません。
合格証書・修了証書が資格を証明する書類となり永年資格です。

公害防止管理者とは

公害防止管理者は、燃料や原材料の検査、騒音や振動の発生施設の配置の改善、排出水や地下浸透水の汚染状態の測定、煤煙の量や特定粉塵の濃度の測定、排出ガスや排出水に含まれるダイオキシン類の量の測定の実施などの業務を管理し、自然環境に悪い影響を与えるのを防ぐのが使命です。

「特定工場」に指定された工場には、必ず公害防止管理者の配置および届け出が義務付けられています。

特定工場

\(\,1.\,\) 対象となる業種は事業内容が次のいずれかに属する工場。
●製造業(物品の加工業を含む)
●電気供給業
●ガス供給業
●熱供給業

\(\,2.\,\) 対象となる上記の業種に属する工場で、次のいずれかの施設を設置している工場。
■ばい煙発生施設
■特定粉じん発生施設
■一般粉じん発生施設
■汚水等排出施設
■騒音発生施設
■振動発生施設
■ダイオキシン類発生施設

公害発生施設の区分によって分かれる公害防止管理者

●大気関係4.3.2.1種公害防止管理者
【大気関係第1種】
カドミウム・その化合物、塩素・塩化水素、ふっ素・ふっ化水素・ふっ化けい素、鉛・その化合物を発生する施設(大気関係有害物質発生施設)で、排出ガス量が\(\,1\,\)時間当たり\(\,4\,\)万立方メートル以上の工場に設置されるの。
【大気関係第2種】
大気関係有害物質発生施設で、排出ガス量が\(\,1\,\)時間当たり\(\,4\,\)万立方メートル未満の工場に設置されるもの。
【大気関係第3種】
大気関係有害物質発生施設以外のばい煙発生施設で、排出ガス量が\(\,1\,\)時間当たり\(\,4\,\)万立方メートル以上の工場に設置されるもの。
【大気関係第4種】
大気関係有害物質発生施設以外のばい煙発生施設で、排出ガス量が\(\,1\,\)時間当たり\(\,1\,\)万立方メートル以上\(\,4\,\)万立方メートル未満の工場に設置されるもの。

 ⇒ 公害防止管理者(大気関係)国家試験の日程と概要および合格率や難易度

 ⇒ 公害防止管理者(大気関係)資格認定講習の受験資格や日程と概要

●水質関係第4.3.2.1種公害防止管理者
【水質関係第1種】
水質関係有害物質排出施設で、排出水量が1日当たり1万立方メートル以上の工場に設置されるもの。
【水質関係第2種】
水質関係有害物質排出施設で、排出水量が1日当たり1万立方メートル未満の工場または、特定地下浸透水を浸透させている工場に設置されるもの。
【水質関係第3種】
水質関係有害物質排出施設以外の汚水等排出施設で、排出水量が1日当たり1万立方メートル以上の工場に設置されるもの。
【水質関係第4種】
水質関係有害物質排出施設以外の汚水等排出施設で、排出水量が1日当たり1千立方メートル以上1万立方メートル未満の工場に設置されるもの。

 ⇒ 公害防止管理者(水質関係)国家試験の日程と概要および合格率や難易度

 ⇒ 公害防止管理者(水質関係)資格認定講習の受験資格や日程と概要

●騒音・振動関係公害防止管理者
【騒音関係】
機械プレス(呼び加圧能力が980キロニュートン以上のものに限る)
鍛造機(落下部分の重量が1トン以上のハンマーに限る)
【振動関係】
液圧プレス(矯正プレスを除くものとし、呼び加圧能力が2941キロニュートン以上のものに限る)
機械プレス(呼び加圧能力が980キロニュートン以上のものに限る)
鍛造機(落下部分の重量が1トン以上のハンマーに限る)

●特定・一般粉じん関係公害防止管理者
【特定粉じん関係】特定粉じん関係
特定粉じん(石綿)発生施設
【一般粉じん関係】
一般粉じん(石綿以外のもの)発生施設

 ⇒ 公害防止管理者(特定,一般粉じん関係)国家試験の日程と概要および合格率や難易度

 ⇒ 公害防止管理者(特定,一般粉じん関係)資格認定講習の受講資格や日程と概要

●ダイオキシン類関係公害防止管理者
ダイオキシン類発生施設

 ⇒ 公害防止管理者(ダイオキシン類関係)国家試験の日程と概要および合格率や難易度2019年12月10日

 ⇒ 公害防止管理者(ダイオキシン類関係)資格認定講習の受講資格や日程と概要

●公害防止主任管理者
排出ガス量が1時間当たり4万立方メートル以上のばい煙発生施設を設置しており、かつ、排出水量が1日当たり1万立方メートル以上の汚水等排出施設を設置している工場に選任義務がある。

 ⇒ 公害防止管理者(公害防止主任管理者)国家試験の日程と概要および合格率や難易度

 ⇒ 公害防止管理者(公害防止主任管理者)資格認定講習の受講資格や日程と概要

国の資格ではありませんが、東京都の条例に基づく公害防止管理者制度(東京都公害防止管理者一種東京都公害防止管理者二種)があります。

受験資格

誰でも受験できます。

試験内容

試験形式:多肢選択方式による\(\,5\,\)者択一式(マークシート方式)
試験範囲:
《全試験区分共通》
\(\,1.\,\) 公害総論(\(\,50\,\)分)
(1)環境基本法及び環境関連法規の概要に関すること
(2)特定工場における公害防止組織の整備に関する法律体系に関すること
(3)環境問題全般に関すること
(4)環境管理手法に関すること
(5)国際環境協力に関すること
《騒音・振動関係の試験区分》
\(\,2.\,\) 騒音・振動概論(\(\,75\,\)分)
<騒音関係>
(1)騒音対策のための法規制に関すること
(2)騒音公害の現状と施策に関すること
(3)主要な騒音発生源に関すること
(4)騒音の感覚に関すること
(5)騒音の影響・評価と基準に関すること
(6)音の性質に関すること
<振動関係>
(1)振動対策のための法規制に関すること
(2)振動公害の現状と施策に関すること
(3)主要な振動発生源に関すること
(4)振動の感覚及び評価に関すること
(5)振動の影響に関すること
(6)振動の性質に関すること
<騒音・振動関係>
(1)dB についての計算に関すること
(2)低周波音に関すること
\(\,3.\,\) 騒音・振動特論(\(\,90\,\)分)
<騒音関係>
(1)騒音防止技術に関すること
(2)騒音の測定技術に関すること
<振動関係>
(1)振動防止技術に関すること
(2)振動の測定技術に関すること

科目別の合格基準:国家試験終了後に公害防止管理者等国家試験試験員委員会において決定されます。

〔科目免除〕
・同一試験区分を受験の場合
合格した科目は合格した年を含めて3年までは、申請によって科目を免除されます。
・1つ以上の試験区分に合格した人が他の試験区分を受験する場合
合格した試験区分に含まれる試験科目と同じ科目は、申請によって科目を免除されます。

※科目免除については、産業環境管理協会HPで必ず確認してください。

試験頻度および日時や時期

年\(\,1\,\)回実施  \(\,10\,\)月

※詳しい日時は、産業環境管理協会HPで確認してください。

試験会場

全国主要\(\,9\,\)都市
札幌・仙台・東京・愛知・大阪・広島・高松・福岡・那覇

※会場は年度によって異なりますので、産業環境管理協会HPで確認してください。

受験料

\(\,8,200\,\)円
 

過去数年の平均合格率および難易度

●平成30年
受験人数:\(\,1,496\,\)人  合格者人数:\(\,335\,\)人  合格率:\(\,22.4\,\)%

【全種合計】受験人数:\(\,22,741\,\)人  合格者人数:\(\,6,183\,\)人  合格率:\(\,27.2\,\)%
※全種とは、大気関係、水質関係、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、主任管理者です。

●平成29年
受験人数:\(\,1,496\,\)人  合格者人数:\(\,367\,\)人  合格率:\(\,24.5\,\)%

【全種合計】受験人数:\(\,24,332\,\)人  合格者人数:\(\,6,024\,\)人  合格率:\(\,24.8\,\)%
※全種とは、大気関係、水質関係、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、主任管理者です。

●平成28年
受験人数:\(\,1,495\,\)人  合格者人数:\(\,440\,\)人  合格率:\(\,29.4\,\)%

【全種合計】受験人数:\(\,24,690\,\)人  合格者人数:\(\,6,382\,\)人  合格率:\(\,25.8\,\)%
※全種とは、大気関係、水質関係、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、主任管理者です。

●平成27年
受験人数:\(\,1,559\,\)人  合格者人数:\(\,382\,\)人  合格率:\(\,24.5\,\)%

【全種合計】受験人数:\(\,25,562\,\)人  合格者人数:\(\,6,525\,\)人  合格率:\(\,25.5\,\)%
※全種とは、大気関係、水質関係、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、主任管理者です。

●平成26年
受験人数:\(\,1,606\,\)人  合格者人数:\(\,487\,\)人  合格率:\(\,30.3\,\)%

【全種合計】受験人数:\(\,25,989\,\)人  合格者人数:\(\,6,501\,\)人  合格率:\(\,25.0\,\)%
※全種とは、大気関係、水質関係、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、主任管理者です。

騒音・振動関係の過去数年の平均合格率は約\(\,26\,\)%で、難易度は高い資格試験と言えます。

過去数年の全種合計の平均合格率は約\(\,26\,\)%です。
※全種とは、大気関係、水質関係、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、主任管理者です。

主催・試験実施団体

名称:一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者試験センター
住所:東京都千代田区鍛冶町二丁目2番1号(三井住友銀行神田駅前ビル)

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