日商簿記検定は原価計算初級を除くと、初級・3級・2級・1級の4つの級があります。
検定試験の難易度と合格率や検定の試験科目、出題区分を各級ごとにお伝えします。

個人経営の方に必要な簿記から、税理士試験の受験資格が得られる1級まであるので難易度はかなり違ってきます。
就職活動にも活かせる資格ですので大変価値のある資格です。

資格または検定試験名(正式名称と通称)

商工会議所簿記検定試験:(通称)日商簿記検定公的資格

 \(\large{\color{green}{\fbox{簿記初級}}}\)

簿記初学者向けの入門レベルです。

 \(\large{\color{magenta}{\fbox{3級}}}\)

ビジネスパーソンに必須の基本知識で、小規模企業の経理事務に役立つレベルです。

 \(\large{\color{orange}{\fbox{2級}}}\)

経営管理に役立つ知識として企業の財務担当者に必須で、高校(商業高校)において修得を期待されるレベルです。

 \(\large{\color{red}{\fbox{1級}}}\)
公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門で、大学などで専門に学ぶ者に期待されるレベルです。
合格すると税理士試験の受験資格が得られます。

受験資格

 \(\color{green}{\fbox{簿記初級}}\) \(\color{magenta}{\fbox{3級}}\) \(\color{orange}{\fbox{2級}}\) \(\color{red}{\fbox{1級}}\)

誰でも受験できます。

試験内容と受験対策方法

日商簿記の出題範囲は、平成27年度に全面的な見直しが行われ、平成28年度からの3年間で段階的に改定されています。

平成30年度(平成30年6月10日施行の第149回試験)以降の適用する商業簿記・会計学の出題区分表、商業簿記標準・許容勘定科目表、工業簿記・原価計算の出題区分表については、商工会議所の検定試験HPで必ず確認してください。

試験内容

 \(\color{green}{\fbox{簿記初級}}\) 

簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用することができているかを問われます。

試験科目:商業簿記
試験時間:\(\,40\,分\)
試験方式:インターネットでの試験です。
合否判定:試験終了と同時に採点され合否結果を判定されます。

 \(\color{magenta}{\fbox{3級}}\) 

基本的な商業簿記を修得し、経理関連書類の適切な処理や青色申告書類の作成など、初歩的な実務がある程度できているかを問われます。

試験科目:商業簿記
試験時間:\(\,120\,分\)
合格基準:\(\color{red}{\,70\,点以上}\)(\(\,100\,点満点\))

 \(\color{orange}{\fbox{2級}}\) 

高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できているかを問われます。

試験科目:商業簿記工業簿記
試験時間:\(\,120\,分\)
合格基準:\(\color{red}{2科目の合計\,70\,点以上}\)
(商業簿記\(\,60\,点\)+工業簿記\(\,40\,点\)で\(計\,100\,点満点\))

 \(\color{red}{\fbox{1級}}\)

非常に高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析ができているかを問われます。

試験科目: 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算
試験時間:\(\,180\,分\)
・商業簿記+会計学(\(\,90\,分\))
・工業簿記+原価計算(\(\,90\,分\))
合格基準:\(\,\color{red}{4\,科目合計\,70\,点以上}\)
(\(各科目\,25\,点で計\,100\,点\))
※ただし、\(\,1\,\)科目でも\(\,10\,\)点に満たない場合は不合格となります。

対策方法

テキスト・参考書での独学
専門学校・専門講座
通信講座

日商簿記検定に関して公式テキスト・問題集はありません。

各出版社の教材や問題集を書店やWeb店舗などで購入する際は、出題範囲が平成30年度から改定されているので最新の改定版であることを必ず確認してください。
古い教材や問題集では対策にならない可能性があります

簿記検定の合格基準は相対評価ではなく絶対評価なので、自分自身がどれだけ点数を稼げるかが重要です。
基本的な知識をしっかり身に着け、確実に\(\,70\,点\)以上取れる実力をつけることを意識して勉強しましょう。
全部中途半端で広く浅く勉強するより、着実に正解できるテーマを一つずつ増やしていく学習がお勧めです。

日本商工会議所の検定試験HPで、過去10年間(平成16~25年度)の簿記検定1級最優秀合格者のコメントから受験者へのアドバイスとして、合格への5カ条がまとめられています。
合格への5カ条を参考にして合格を目指しましょう。

【簿記検定試験合格への5カ条】
第1条    毎日継続して学習すること
・短期間に詰め込むのではなくテキストを少し読むだけでもよいので、毎日何らかの形で簿記と関わるように心がける。
・継続は力なり。
第2条    基礎を固めること
・基本的な内容を確実にできることが最も大事なこと。基礎をしっかり固めていれば応用問題が出ても自ずと解法が見えてくる。
・試験問題は基礎的な知識で解けるものが必ず含まれているので、まずはそうした問題を解くことで、落ち着いて応用問題にも取り掛かることができる。
第3条    暗記ではなく理解すること
・やみくもに暗記するのではなく、常に「なぜそのような仕訳をするのか」などの手続きの理由や意味を理解していくことで、効率的に実力をつけることができる。
・問題演習の誤答を単に見直しただけで終わらせず、間違えた理由を考えることが重要。
第4条    まんべんなく学習すること
・試験は、難しい応用問題より基礎的な知識を問う比重が大きい。試験範囲の基本的な部分を網羅的に学習することが合格への近道。
・自分で内容をまとめたレジュメを作成すると、どこを学習したかが分かりやすく、やり残しが少なくなる。復習もより効率的にできる。
第5条    諦めないこと
・空白なら0点だが、何か書けば得点になる可能性がある。難問だからといって諦めてはもったいない。
・試験時間は限られているが、あせらず、できるところから丁寧に解いていくこと。
※出典:商工会議所検定試験HPより

試験頻度および日時や時期

 \(\color{green}{\fbox{簿記初級}}\) 
随時です。(商工会議所ネット試験施行機関が日時を決定)
※商工会議所検定試験HPで確認してください。

 \(\color{magenta}{\fbox{3級}}\) \(\color{orange}{\fbox{2級}}\) 

 \(年\,3\,回\hspace{10pt}2\,月・\,6\,月・\,11\,月\)

 \(\color{red}{\fbox{1級}}\)

 \(年\,2\,回\hspace{10pt}6\,月・\,11\,月\)

試験会場

 \(\color{green}{\fbox{簿記初級}}\) 

商工会議所検定試験HPで確認してください。

 \(\color{magenta}{\fbox{3級}}\) \(\color{orange}{\fbox{2級}}\) \(\color{red}{\fbox{1級}}\)

全国各地の商工会議所が指定する会場
※商工会議所検定試験HPで確認してください。

受験料

 \(\color{green}{\fbox{簿記初級}}\) \(2,160\,円\)(税込)

 \(\color{magenta}{\fbox{3級}}\) \(2,800\,円\)(税込)

 \(\color{orange}{\fbox{2級}}\) \(4,630\,円\)(税込)

 \(\color{red}{\fbox{1級}}\) \(7,710\,円\)(税込)

過去数年の平均合格率および難易度

日商簿記検定は、試験開催日ごとに問題の難易度にばらつきがあり、合格率の変動があるのが特徴的と言われていますが、近年の合格率は次のようになっています。

 \(\color{green}{\fbox{簿記初級}}\) 合格率:\(55\)%前後

 \(\color{magenta}{\fbox{3級}}\) 合格率:\(45\)%前後

 \(\color{orange}{\fbox{2級}}\) 合格率:\(20\)%前後

 \(\color{red}{\fbox{1級}}\) 合格率:\(9\)%前後

3級までは過去問になれて、簿記をある程度理解していれば難易度は高くはありません。
しかし、2級から上位は難易度は確実に上がります。
1級は税理士試験の受験資格にもなるので当然ですが、半端な気持ちで取り組んで合格できる難易度ではありません。

主催・試験実施団体

名称:商工会議所

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