臭気判定士とは、においの測定方法の1つ嗅覚測定法を行うための資格で、環境保全のプロフェッショナルです。
臭気環境分野で初めての国家資格です。

ここでは、臭気判定士試験の日程や会場、試験内容および難易度や合格率についてお伝えします。

資格または検定試験名

臭気判定士:(国家資格 名称独占)

臭気判定士免状(\(\,5\,\)年毎に更新が必要)の交付を受けて、はじめて「臭気判定士」として仕事をすることができます。

臭気判定士とは

臭気判定士とは、人の嗅覚を用いて行う嗅覚測定法を行うための資格です。
分析・試験・検査を行うサンプル(試料)の採取、パネルの選定、試験の実施、結果のまとめなど判定試験全体の責任者となります。

全国で発生している悪臭苦情を解決するため、工場や事業所から出る排気ガス等のにおいを数値化するのが仕事です。

においの測定方法は\(\,2\,\)通り(測定法と嗅覚測定法)あります。
分析機器で測るより、人間の嗅覚で測定する嗅覚測定法が主流となっています。

【測定法】分析機器により行う
【嗅覚測定法】人の嗅覚を用いて行う

嗅覚測定法とは

嗅覚測定法とは、人がにおいを感じなくなるまで希釈した倍数(臭気濃度)でにおいの強さを判定する方法です。

臭気判定士になるには

臭気判定士になるには、筆記試験と嗅覚検査の両方に合格して、臭気判定士免状の交付申請が必要です。

嗅覚検査は臭気判定士試験の前でも後でも、どちらで受けても構いませんが、嗅覚検査の合格証書の有効期間は\(\,1\,\)年間ですので注意してください。

受験資格

試験日に\(\,18\,\)歳以上であれば誰でも受験できます。

試験内容と受験対策方法

試験内容

試験時間:\(\,130\,\)分
試験形式:マークシート方式(多肢択一・数値解答)
問題数:\(\,44\,\)問(\(\,50\,\)点満点)
試験科目:\(\,5\,\)科目
\(\,1.\,\) 嗅覚概論
【\(\,6\,\)問(各\(\,1\,\)点)】
○嗅覚の仕組みやにおいの役割等に関する事項
○嗅覚の順応や閾値等、嗅覚の基本的な特性に関する事項
○嗅覚とにおい物質の関係に関する事項
○においの評価に関する事項

\(\,2.\,\) 悪臭防止行政
【\(\,8\,\)問(各\(\,1\,\)点)】
○規制地域及び規制基準に関する事項
○臭気判定士(臭気測定業務従事者)に関する事項
○その他の悪臭防止法、施行令、施行規則、告示等の内容に関する基本的事項
○悪臭原因物、悪臭苦情及び悪臭防止法の施行状況に関する事項
○臭気発生源及び悪臭防止対策に関する事項

\(\,3.\,\) 悪臭測定概論
【\(\,8\,\)問(各\(\,1\,\)点)】
○嗅覚測定法全般(測定法の種類、尺度間の関係、希釈等)に関する事項
○特定悪臭物質の性質・測定等に係る基礎的な知識に関する事項
○嗅覚測定の精度管理・安全管理に関する事項
○排出ガスのガス速度、温度、水分等の測定方法(JIS Z 8808)、臭気の拡散に関する基礎的な事項
○臭気排出強度、脱臭効率の計算など測定結果の解析に関する事項

\(\,4.\,\) 分析統計概論
【\(\,8\,\)問(各\(\,1\,\)点)】
○統計の基本的な考え方に関する事項
○度数分布、代表値、散布度、単回帰、相関等のデータの基本構造に関する事項
○統計的推定、統計的仮説検定等に関する事項
○\(\,2\,\)点試験法、\(\,3\,\)点試験法等、臭気測定データの統計的処理に関する事項
○精度管理に用いる用語等に関する事項

\(\,5.\,\) 臭気指数などの測定実務
【\(\,8\,\)問(各\(\,1\,\)点)】
○パネルの選定と管理に関する事項
○試料採取に用いる器材とその取り扱いに関する事項
○試料採取方法に関する事項
○判定試験に用いる器材とその取り扱いに関する事項
○判定試験方法に関する事項
【\(\,6\,\)問(各\(\,2\,\)点)】
○臭気指数の算出(計算問題)

合否判定基準:試験終了後の臭気判定士試験委員会において決定されます。

嗅覚検査

嗅覚検査は、臭気判定士免状の交付を受けるために必要な検査です。

検査方法:\(\,5\,\)本のにおい紙のうち、\(\,2\,\)本のにおい紙についた基準臭を嗅ぎ当てます。
この方法で、\(\,5\,\)種類の基準臭についても繰り返し行います。
検査時間:約\(\,15\,\)分

※特に鋭敏な感覚を要求されているわけではありません。
※嗅覚検査に関しては、におい・かおり環境協会HPに記載されている嗅覚検査委託機関に直接確認してください。

対策方法

テキスト・参考書での独学
講習

臭気判定士試験の出題範囲\(\,5\,\)科目には、それぞれ参考図書と過去問題が用意されていますので、参考書を熟読して問題集で勉強しましょう。
【参考図書】
■嗅覚概論
■ハンドブック悪臭防止法
■初心者のための統計学
■臭気の嗅覚測定法
■嗅覚測定法マニュアル
■気体排出⼝における臭気指数規制マニュアル

【過去問題】
・機関誌「におい・かおり環境学会誌」の試験問題のみ抜粋した冊⼦
・平成30年度試験問題及び正答
・平成29年度試験問題及び正答
・平成28年度試験問題及び正答
・平成27年度試験問題及び正答
・平成26年度試験問題及び正答
・平成25年度試験問題及び正答

※参考図書と過去問題は、におい・かおり環境協会HPから購入できます。

ただ範囲がとても広範囲なので、どこから手をつけていいのか分からないという人も少なくないようです。
このような場合は、におい・かおり環境協会主催の臭気判定技術講習会を受講し、合格を目指しましょう。

※臭気判定技術講習会の詳しいことは、におい・かおり環境協会HPで確認してください。

受験申請書配布

\(\,6\,\)月

※詳しい日時はにおい・かおり環境協会HPで確認してください。

申請受付期間

\(\,7\,\)月~\(\,9\,\)月

※詳しい日時はにおい・かおり環境協会HPで確認してください。

試験頻度および日時や時期

年\(\,1\,\)回実施 \(\,11\,\)月

※詳しい日時はにおい・かおり環境協会HPで確認してください。

筆記試験会場

東京・愛知・大阪

※会場は受験票で確認してください。

嗅覚検査日と会場

【嗅覚検査日】
各検査機関で検査日が異なります。

※嗅覚検査委託機関にて予め電話で実施日を確認し、事前に予約してください。

【嗅覚検査会場】
札幌・岩手・宮城・山形・福島・茨城
群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟
山梨・長野・静岡・愛知・三重・滋賀
京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡
鹿児島・沖縄

※会場は、におい・かおり環境協会HPで確認してください。

受験料

【筆記試験】\(\,18,000\,\)円(非課税)

【嗅覚検査】\(\,9,000\,\)円(非課税)

【臭気判定士免状の交付申請】\(\,3,500\,\)円(非課税)

過去数年の平均合格率および難易度

●平成30年度
受験人数:\(\,522\,\)人  合格人数:\(\,132\,\)人  合格率:\(\,25.3\,\)%

●平成29年度
受験人数:\(\,563\,\)人  合格人数:\(\,135\,\)人  合格率:\(\,24.0\,\)%

●平成28年度
受験人数:\(\,590\,\)人  合格人数:\(\,168\,\)人  合格率:\(\,28.5\,\)%

●平成27年度
受験人数:\(\,612\,\)人  合格人数:\(\,137\,\)人  合格率:\(\,22.4\,\)%

●平成26年度
受験人数:\(\,611\,\)人  合格人数:\(\,125\,\)人  合格率:\(\,20.5\,\)%

過去数年の平均合格率は約\(\,24\,\)%難易度が高い資格試験と言えます。

主催・試験実施団体

名称:公益社団法人 におい・かおり環境協会 
住所:東京都新宿区高田馬場2-14-2 新陽ビル1106号

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