スポーツクライミング・インストラクター資格はインドアとフリーの中間に位置する検定試験です。
ここではスポーツクライミングについて検定試験の受験資格や試験科目や講習内容をお伝えします。
受験資格となる書類審査や適性検査はインドアからの移項の場合も必要ですのでご確認ください。
資格または検定試験名(正式名称と通称)
フリークライミングインストラクター(FCI)資格:(通称)スポーツクライミングインストラクター(民間資格)
【職能範囲】
国内で、人工壁を含む一般のガイドブック等((山と渓谷社 日本\(\,100\,\)岩場を参照)でゲレンデと称され整備された岩場でのボルダリングからシングルピッチのスポーツルート(注)までをインストラクター・コーチ・講師として指導行為を有償で行うことができます。
(注)ほぼすべてのプロテクションがボルトで構成されていますが、\(\,1~2\,\)個のカムディバイスを安全管理のために補助的に使うルートに関してはスポーツルートとみなします。
なお、トラッドルートはトップロープのみの指導に限られます。
※ただし、旧シングルピッチ資格からスポーツクライミング・インストラクター資格へ呼称変更により自動移行した人は、旧シングルピッチ資格での職能範囲が認められます。(トラッドのリード指導可)
インストラクター資格認定
認定通知書受給者は、本会正会員団体に入会し、正会員団体より入会手続を行う。
手続きが完了したものには正会員団体を通して、本会よりガイド資格認定証(本会正会員証)およびガイドバッチを付与する。
本会に入会しなければインストラクター業務を行うことは出来ない。
※出典:日本山岳ガイド協会HPより
資格更新について
自己の有効期限内に満\(\,65\,\)歳に達したとき、その間\(\,1\,\)回以上の資格更新研修会を履修し次の資格有効期間を確定している者は、その後\(\,3\,\)年毎に\(\,2\,\)日間の机上研修を修了することで更新される。
実技研修免除の年齢を越えて資格を取得した者は、\(\,1\,\)回以上の更新研修会を修了した後に年齢による実技研修免除が適応される。
また、この資格の有効期限内にフリークライミング資格を取得した場合、そこから新しい資格としての有効期限が発生する。
すでに更新研修を修了させ、スポーツクライミング資格を更新していたとしてもその更新はフリークライミング資格には反映されない。
※出典:日本山岳ガイド協会HPより
受験資格
・満\(\,20\,\)歳以上の健康で体力がある、日本山岳ガイド協会の定めるクライミング経験と技術水準を満たした、クライミング経験年数\(\,3\,\)年以上の人。
■技術水準
【人工壁での経験】
\(\,5.11\,\)c以上のレッドポイント\(\,30\,\)本以上、および\(\,5.11\,\)a以上のオンサイト\(\,20\,\)本以上。
【岩場での経験】
スポーツルートで\(\,5.11\,\)c以上のレッドポイント\(\,30\,\)本以上、および\(\,5.11\,\)a以上のオンサイト\(\,20\,\)本以上。
トラッドルートで\(\,5.10\,\)aの完登\(\,5\,\)本以上。
受験の順番(流れ)
\(\,1.\,\)書類審査
書類審査を合格した人は、実技適性試験を受験することができます。
※書類審査申請の提出書類は日本山岳ガイド協会HPで確認してください。
\(\,2.\,\)実技適性試験(\(\,2\,\)日間)
実技適性試験を合格した人は、筆記試験を受験することができます。
※実技適性試験申請の提出書類は日本山岳ガイド協会HPで確認してください。
\(\,3.\,\)筆記試験(\(\,1\,\)日)
筆記試験を合格した人は、実技講習・検定試験(二次試験)のレスキュー技術義務講習を受講することができます。
※各実技講習・検定試験(二次試験)申請の提出書類は日本山岳ガイド協会HPで確認してください。
\(\,4.\,\)レスキュー技術義務講習(\(\,2\,\)日間)
レスキュー技術義務講を修了した人は、人工壁講習・検定を受験することができます。
\(\,5.\,\)人工壁講習・検定試験(\(\,2\,\)日間)
人工壁講習・検定試験を合格した人は、クライミング技術と安全管理講習・検定を受験することができます。
\(\,6.\,\)クライミング技術と安全管理講習・検定試験(\(\,3\,\)日間)
クライミング技術と安全管理講習・検定試験を合格した人は、セルフレスキュー技術講習・検定を受験することができます。
\(\,7.\,\)セルフレスキュー技術講習・検定試験(\(\,3\,\)日間)
※筆記試験に合格した人は、危急時対応技術講習会(\(\,2\,\)日間)を受講できます。
試験内容と受験対策方法
試験内容
《各科目の有効年数》
書類審査、実技適性試験、筆記試験、講習・検定の合格有効年数は、修了書発効日または合格通知書発効日から\(\,3\,\)年度までです。
\(\color{magenta}{\fbox{一次試験}}\)
書類審査+実技適性試験+筆記試験
【実技適性試験(人工壁 \(\,2\,\)日間)】
●\(\,5.11\,\)a程度のオンサイトトライおよび\(\,5.11\,\)c程度のレッドポイントトライと指導者としての適性能力の試験。
●ボルダリング・トップロープクライミング・リードクライミング・ビレイ・ロープワーク 等のクライミングに対する理解度と安全管理に関する認識や用具の知識。
●ルールとマナー 等
以上をA・B・Cの\(\,3\,\)段階評価されます。
【筆記試験】
試験科目:\(\,2\,\)科目+小論文
出題内容:
■基礎的知識・業務関連
\(\,1.\,\)気象に関する基礎知識
\(\,2.\,\)インストラクター概念、リスク・マネジメント、コミュニケーション技術
\(\,3.\,\)フリークライミング概論と倫理
■専門知識と安全管理
\(\,1.\,\)クライミング技術について
\(\,2.\,\)クライミングギアの知識
\(\,3.\,\)安全管理とマナー
\(\,4.\,\)ファーストエイドに関する知識
\(\,5.\,\)スポーツ科学(トレーニング理論、故障とケア、栄養学)に関する知識
■小論文
インストラクターの役割や責務・インストラクターの資質がテーマです。
\(\color{magenta}{\fbox{二次試験}}\)
【レスキュー技術義務講習(\(\,2\,\)日間)】
講習科目:
・初動対応
・基本技術
・引き上げ降ろし
・搬送
・リスクマネジメント など
机上講義:
・本会の組織と資格制度について、職業倫理規範と安全管理責任、リスク・マネジメント、確保理論
・過去の事故検証等
【クライミング技術と安全管理講習・検定(\(\,3\,\)日間)】
■事前説明】
\(\,1.\,\)諸注意(顧客の安全管理、天候等の自然環境、岩場までのアプローチ、岩場の状況)
\(\,2.\,\)ルールとマナー
講習・検定内容:
■クライミング技術と安全管理および指導法
\(\,1.\,\)クライミング技術
・スポーツで5.11a~5.11c程度のレッドポイントトライ
・トラッドで5.10a 程度のトップロープトライ
\(\,2.\,\)支点の構築技術(ビレイステーションとカム類等)
\(\,3.\,\)確保技術(リードとトップロープ)
\(\,4.\,\)懸垂下降と仮固定
\(\,5.\,\)用具の説明
\(\,6.\,\)指導法
\(\,7.\,\)安全管理(危機管理、顧客のケア)
机上講義:
・本会の組織と資格制度について、職業倫理規範と安全管理責任、リスク・マネジメント、確保理論
・過去の事故検証等
【セルフレスキュー技術講習・検定(\(\,3\,\)日間)】
講習・検定内容:
■セルフレスキュー技術
\(\,1.\,\)事故発生時の対応
\(\,2.\,\)基本技術
\(\,3.\,\)搬送技術
\(\,4.\,\)引き上げ技術(2:1・3:1)
\(\,5.\,\)降ろし技術
\(\,6.\,\)自己脱出技術
\(\,7.\,\)確保技術(ロワーダウン・ショートロープ等)
\(\color{blue}{\fbox{危急時対応技術講習会}}\)
インストラクターの安全管理にとって重要な科目です。
危急時対応技術講習を受講しない場合には、認定通知書が発行されません。
※他の資格を取得していて、すでに危急時対応技術講習もしくはファーストエイド講習会を受講している場合には免除されます。
※講習会の日程は、日本山岳ガイド協会HPで確認してください。
講習科目:危急時対応技術講習(\(\,2\,\)日)
検定は行なわれません。
講習内容:
\(\,1.\,\)自然界での危険
\(\,2.\,\)危急時のとらえ方
\(\,3.\,\)リスクアセスメント
\(\,4.\,\)危急時の対応及び措置
\(\,5.\,\)気象遭難 他
対策方法
実技適性試験、筆記試験、講習・検定試験の参考図書
日本山岳ガイド協会より、実技適性試験、筆記試験、講習・検定試験の参考図書が発行されています。
日本山岳ガイド協会HPより購入できます。
・フリークライミング・インストラクター指導教本(日本山岳ガイド協会)
・山のファーストエイド教本(日本山岳ガイド協会)
・山岳救助マニュアル・認定ガイド編(日本山岳ガイド協会)
・自然・登山ガイドの専門的知識教本(日本山岳ガイド協会)
・大人の山岳部(東京新聞出版部)
・登山技術全書⑦「フリークライミング」(山と渓谷
協会より推奨されている上記の参考図書を熟読し合格を目指してください。
試験頻度および日時や時期
\(\color{magenta}{\fbox{一次試験}}\)
年\(\,1\,\)回実施
【書類審査】\(\,8\,\)月
【実技適正試験】\(\,10\,\)月
【筆記試験】\(\,11\,\)月
※日程は変更になる場合がありますので、日本山岳ガイド協会HPで確認してください。
\(\color{magenta}{\fbox{二次試験}}\)
【レスキュー技術義務講習】\(\,12\,\)月
【クライミング技術と安全管理講習・検定】\(\,2\,\)月
【セルフレスキュー技術講習・検定】\(\,4\,\)月
※日程は変更になる場合がありますので、日本山岳ガイド協会HPで確認してください。
試験会場
\(\color{magenta}{\fbox{一次試験}}\)
東京・大阪
※会場は受験票または日本山岳ガイド協会HPで確認してください。
\(\color{magenta}{\fbox{二次試験}}\)
神奈川・伊豆・小川山
※会場は変更になる場合があります。
受験票または日本山岳ガイド協会HPで確認してください。
受験料
\(\color{magenta}{\fbox{一次試験}}\)
【書類審査料 】\(\,5,000\,\)円
【実技適性試験料】\(\,40,000\,\)円
【筆記試験料】\(\,15,000\,\)円
\(\color{magenta}{\fbox{二次試験}}\)
【レスキュー技術義務講習】\(\,40,000\,\)円
【クライミング技術と安全管理講習・検定】\(\,50,000\,\)円
【セルフレスキュー技術講習・検定】\(\,50,000\,\)円
\(\color{blue}{\fbox{危急時対応技術講習会}}\)
\(\,25,000\,\)円
主催・試験実施団体
名称:公益社団法人 日本山岳ガイド協会
住所:東京都新宿区四谷三栄町6番9号 丸藤ビル2階
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