建設業経理検定は、建設業経理に関する知識および処理能力の向上を図ることを目的とし、1・2級は建設業経理士、3・4級は建設業経理事務士の称号が与えられます。

ここでは、検定試験1級の日程と内容や合格率、難易度についてお伝えします。

資格または検定試験名

建設業経理検定試験:(民間資格

各級の称号(名称)とレベル

●\(\,4\,\)級建設業経理事務士
初歩的な建設業簿記を理解している。

 ⇒ 建設業経理検定試験4級の日程や内容と特別研修および合格率と難易度

●\(\,3\,\)級建設業経理事務士
基礎的な建設業簿記の原理および記帳ならびに初歩的な建設業原価計算をし、決算等に関する初歩的な実務を行える。

 ⇒ 建設業経理検定試験3級の日程や内容と特別研修および合格率と難易度

●\(\,2\,\)級建設業経理士
実践的な建設業簿記と基礎的な建設業原価計算を習得し、決算に関する実務を行える。

 ⇒ 建設業経理検定試験2級の日程と内容および合格率と難易度

●\(\,1\,\)級建設業経理士
上級の建設業簿記・建設業原価計算・会計学を習得し、会社法その他会計に関する法規を理解し、建設業の財務諸表作成とそれに基づく経営分析が行える。

1級の受験資格

誰でも受験できます。

※他の級との同日受験はできませんが、\(\,1\,\)級の複数科目の同日受験は可能です。

1級の試験内容と受験対策方法

試験内容

\(\,1\,\)級は建設業原価計算・財務諸表・財務分析の\(\,3\,\)科目での科目合格制です。

※\(\,1\,\)級各科目の合格は、合格通知書の交付日から\(\,5\,\)年間有効です。
\(\,5\,\)年の間に\(\,3\,\)科目すべての科目を取得すれば「\(\,1\,\)級建設業経理士」となります。
有効期間内に合格できなかった場合、合格している科目も合格が消滅し再度受験する必要があります。

試験時間:各科目ごと\(\,1\,\)時間\(\,30\,\)分
問題数:各科目ごと\(\,5\,\)題
出題範囲:建設業原価計算・財務諸表・財務分析
黒色の部分は\(\,2\,\)級の出題範囲紫色の部分が\(\,1\,\)級で新たに加わる範囲
《出題区分》
■第\(\,1\,\) 簿記・会計の基礎
1. 基本用語
ア 資産、負債、資本(純資産)
イ 収益、費用
ウ 損益計算書と貸借対照表との関係
2. 取引
ア 取引の意味と種類
イ 取引の8要素とその結び付き
3. 勘定と勘定記入
ア 勘定の意味と分類
イ 勘定記入の法則
ウ 仕訳の意味
エ 貸借平均の仕組みと試算表
4. 帳簿
ア 主要簿(仕訳帳、総勘定元帳)
イ 補助簿
5. 伝票と証憑
ア 伝票と伝票記入
イ 帳簿への転記
ウ 証憑
6. 会計公準
7. 会計基準
8. 会計法規

■第\(\,2\,\) 建設業簿記・会計の基礎
1. 建設業の経営及び簿記の特徴
2. 建設業の勘定
ア 完成工事高
イ 完成工事原価
a 材料費
b 労務費
c 外注費
d 経 費
ウ 未成工事支出金
エ 完成工事未収入金(得意先元帳)
オ 未成工事受入金(得意先元帳)
カ 工事未払金(工事未払金台帳)
3. 完成工事原価報告書
4. 工事契約会計

■第\(\,3\,\) 完成工事高の計算
1. 工事収益の認識
ア 工事完成基準
イ 工事進行基準
ウ 工事部分完成基準
2. 工事収益の計算

■第\(\,4\,\) 原価計算の基礎
1. 原価計算の目的
2. 原価計算システム
ア 原価計算制度の意義
イ 特殊原価調査の意義
3. 原価の一般概念
ア 原価の本質
イ 非原価項目
4. 原価の基本的諸概念
ア 事前原価、事後原価
イ プロダクトコスト、ピリオドコスト
ウ 全部原価、部分原価
エ 実際原価、標準原価
5. 制度的原価の基礎的分類基準
ア 発生形態別分類
イ 作業機能別分類
ウ 計算対象との関連性分類
エ 操業度との関連性分類
オ その他の分類
6. 原価計算の種類
ア 事前原価計算、事後原価計算
イ 総原価計算、製造原価計算
ウ 形態別原価計算、機能別原価計算
エ 個別原価計算、総合原価計算
オ 付加原価計算、分割原価計算

■第\(\,5\,\) 建設工事の原価計算
1. 建設業の特質と原価計算
2. 原価計算期間、原価計算単位
3. 積算上の工事費の概念と会計上の工事原価との関係
4. 工事契約会計における原価計算
ア 収益認識基準と原価計算の関係
イ 工事進行基準における工事進捗度
ウ 工事進行基準における原価の範囲

5. 工事原価計算の基本ステップ
ア 費目別計算
イ 部門別計算
ウ 工事別計算

■第\(\,6\,\) 材料費の計算
1. 材料、材料費の分類
2. 材料の購入原価
ア 購入時資産処理法
イ 購入時材料費処理法
3. 材料費の計算
ア 消費量の計算
イ 消費単価の計算
a 原価法(先入先出法、移動平均法、総平均法)
b 予定価格法
4. 期末棚卸高の計算
ア 棚卸減耗損
イ 材料評価損
5. 材料元帳
6. 仮設材料費の計算
ア すくい出し法
イ 損料計算方式

■第\(\,7\,\) 労務費の計算
1. 労務費の分類
2. 労務費の計算
ア 作業時間の計算
イ 消費賃率の計算

■第\(\,8\,\) 外注費の計算
1. 外注費の分類
2. 外注費の計算
3. 労務外注費の意義と処理

■第\(\,9\,\) 経費の計算
1. 経費の分類
ア 工事経費
イ 現場管理費
2. 経費の計算

■第\(\,10\,\) 工事間接費(現場共通費)の意義と配賦
1. 工事間接費の意義
2. 工事間接費の配賦
ア 実際配賦法
イ 予定配賦法
a 予定配賦率の計算
b 固定予算と変動予算
c 操業度の意義
d 配賦差異の計算
ウ 正常配賦法
エ 活動基準原価計算(ABC)

■第\(\,11\,\) 工事原価の部門別計算
1. 部門別計算の意義
2. 原価部門の意義
3. 部門共通費の配賦
4. 補助部門費の配賦
a 直接配賦法
b 階梯式配賦法
c 相互配賦法(簡便法)
d 相互配賦法(連立方程式法)
5. 部門費の工事への配賦
ア 配賦の方法
イ 配賦差異の計算
ウ 配賦差異の期末処理
6. 補助部門の施工部門化
7. 社内センター制度
8. 損料計算制度
ア 機械の損料計算
イ 仮設材料の損料計算

■第\(\,12\,\) 工事別原価計算
1. 個別原価計算の手続き
2. 工事台帳と原価計算表
3. 完成工事原価報告書
ア 労務外注費の表示
イ 人件費の内書
4. 工事に係る営業費・財務費の処理

■第\(\,13\,\) 総合原価計算の基礎
1. 建設業と総合原価計算
2. 総合原価計算の体系
3. 単純総合原価計算
4. 等級別総合原価計算
5. 組別総合原価計算
6. 連産品、副産物の原価計算
7. 工程別総合原価計算

■第\(\,14\,\) 原価管理(コスト・マネジメント)の基本
1. 内部統制と実行予算管理
2. 標準原価計算制度と原価差異分析
3. 原価企画・原価維持・原価改善
4. 品質原価計算
5. ライフサイクル・コスティング

■第\(\,15\,\) 経営意思決定の特殊原価分析
1. 短期差額原価収益分析
2. 設備投資の経済性計算

■第\(\,16\,\) 取引の処理
1. 現金・預金
ア 現金
イ 現金過不足
ウ 当座預金、その他の預金
エ 当座借越
オ 小口現金
カ 現金出納帳
キ 当座預金出納帳
ク 小口現金出納帳
ケ 銀行勘定調整表
2. 有価証券
ア 有価証券の売買
イ 有価証券の評価
ウ 有価証券の預かり、差入れ
エ 投資有価証券
3. 債権、債務
ア 貸付金、借入金
イ 未収入金、未払金
ウ 前渡金、前受金
エ 立替金、預り金
オ 仮払金、仮受金
4. 手形
ア 手形の振出し、受入れ、引受け、支払い
イ 営業外支払(受取)手形
ウ 手形の裏書、割引
エ 手形の更改、不渡
オ 保証債務の計上・取崩
カ 受取手形記入帳、支払手形記入帳
キ 手形貸付、手形借入
5. 社債
ア 発行
イ 利払
ウ 償還
エ 新株予約権付社債
6. デリバティブ取引とヘッジ会計

7. 棚卸資産
ア 未成工事支出金
a 工事完成基準の場合の処理
b 工事進行基準の場合の処理
c 期末評価と工事損失引当金
イ 材料貯蔵品
ウ 販売用不動産
a 取得
b 建設途中の処理
c 期末評価

8. 固定資産
ア 固定資産の取得
イ 建設仮勘定
ウ 減価償却
a 直接法、間接法
b 定額法、定率法、生産高比例法
c 級数法
d 総合償却法
e 取替法
エ 固定資産の減損

オ 固定資産の売却、除却
カ 無形固定資産
キ 投資その他の資産
ク 固定資産台帳
9. 資産除去債務
10. リース会計

11. 繰延資産
12. 引当金
ア 貸倒引当金
イ 完成工事補償引当金
ウ 退職給付引当金
エ 工事損失引当金
オ その他の引当金
13. 退職給付会計

14. 収益、費用
ア 販売費及び一般管理費
イ 営業外損益
ウ 特別損益
エ 費用の前払い、未払い
オ 収益の未収、前受け
カ 租税公課、法人税等、消費税
15. 税効果会計
16. 外貨換算会計
17. 企業結合会計
18. 事業分離会計
19. 会計上の変更および誤謬の訂正

■第\(\,17\,\) 決算
1. 試算表
2. 精算表
3. 決算整理
4. 収益・費用の損益勘定への振替
5. 純損益の振替
ア 資本金勘定への振替
イ 繰越利益剰余金勘定への振替
6. 帳簿の締切
ア 英米式
イ 大陸式
7. 繰越試算表

■第\(\,18\,\) 個人の会計
1. 個人の資本金
2. 事業主勘定(追加出資と引出し)

■第\(\,19\,\) 会社の会計
1. 会社の資本金
ア 設立
a 金銭の出資
b 現物出資
イ 資本金の変動
ウ 株式の転換
エ 株式の償還、消却
オ 株式分割

2. 資本剰余金
ア 資本準備金
a 株式払込剰余金
b 合併差益
c 株式交換剰余金、株式移転剰余金
d 会社分割剰余金
イ 資本準備金の変動

ウ その他資本剰余金 
エ その他資本剰余金の変動
3. 利益剰余金
ア 利益準備金
イ 利益準備金の変動
ウ その他利益剰余金
a 任意積立金
b 繰越利益剰余金
エ その他利益剰余金の変動
4. 自己株式
5. 評価・換算差額等
6. 新株予約権

■第\(\,20\,\) 計算書類と財務諸表
1. 計算書類、財務諸表の種類
ア 貸借対照表
イ 損益計算書
ウ 株主資本等変動計算書
エ キャッシュ・フロー計算書
オ 個別注記表
カ 附属明細表、附属明細書

2. 計算書類、財務諸表の区分表示
3. 四半期財務諸表、中間財務諸表

■第\(\,21\,\) 本支店会計
1. 本支店間取引の処理
2. 未達事項の処理
3. 内部利益の除去
4. 本支店損益計算書の合併
5. 本支店貸借対照表の合併

■第\(\,22\,\) 連結財務諸表
1. 一般原則
2. 一般基準
3. 連結貸借対照表
4. 連結損益計算書
5. 連結包括利益計算書
6. 連結株主資本等変動計算書
7. 連結キャッシュ・フロー計算書
8. 四半期財務諸表、中間連結財務諸表
9. 連結注記表
10. 連結附属明細表

■第\(\,23\,\) 共同企業体の会計
1. 共同企業体の性格と種類
2. 共同企業体会計の基本原則
3. 共同企業体取引の会計処理
ア 独立会計方式による会計処理
イ 代表(スポンサー)企業の会計処理
ウ その他構成員(サブ)企業の会計処理
4. 共同企業体の決算

■第\(\,24\,\) 財務分析
1. 財務分析の意義
2. 財務分析の基本的手法
ア 静態分析・動態分析
イ 自己単一分析・自己比較分析・企業間比較分析
ウ 実数分析・比率分析
3. 財務諸表の分析
ア 貸借対照表の分析
イ 損益計算書の分析
ウ キャッシュ・フロー計算書の分析
4. 収益性の分析
ア 資本利益率分析
イ 対完成工事高分析
ウ 損益分岐点分析・CVP分析
5. 安全性の分析
ア 流動性分析
イ 健全性分析
ウ 資金変動性分析
6. 活動性の分析
7. 生産性の分析
8. 成長性の分析
9. 総合評価の方法
10. 経営事項審査の総合評価

合格基準:正解率\(\,70\,\)%

対策方法

建設業振興基金HPには過去の試験問題が掲示されていますので、上手に利用して合格を目指しましょう。
ただし、模範解答は作成されていません。

1級の試験頻度および日時や時期

年\(\,2\,\)回実施  \(\,9\,\)月・\(\,3\,\)月

※詳しい日程は建設業振興基金HPで確認してください。

1級の試験会場

【上期試験】
全国\(\,47\,\)地区
札幌・青森・盛岡・仙台・秋田・山形・福島
水戸・宇都宮・前橋・草加(埼玉県)・千葉・東京・藤沢(神奈川県)
新潟・富山・金沢・福井・甲府・松本(長野県)・岐阜・静岡 名古屋
津 大津 京都 大阪 神戸 奈良 和歌山
倉吉(鳥取県) 松江 岡山 広島 山口
徳島 高松 松山 高知
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

【下期試験】
全国\(\,51\,\)地区
札幌 旭川 函館 帯広 青森 盛岡 仙台 秋田 山形 福島 
水戸 宇都宮 前橋 草加(埼玉県) 千葉 東京 藤沢(神奈川県)
新潟 富山 金沢 福井 甲府 長野 松本(長野県) 岐阜 静岡 名古屋
津 大津 京都 大阪 神戸 奈良 和歌山
倉吉(鳥取県) 松江 岡山 広島 山口
徳島 高松 松山 高知
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

※試験会場は受験票で確認してください。

1級の受験料

【1科目のみ】 \(\,7,410\,\)円
【2科目同時】 \(\,10,600\,\)円
【3科目同時】 \(\,13,680\,\)円
 

過去数年の平均合格率および難易度

【財務諸表】
●2019年9月
受験人数:1,517人  合格人数:311人  合格率:\(\,20.5\,\)%

●2019年3月
受験人数:1,612人  合格人数:393人  合格率:\(\,24.4\,\)%

●2018年9月
受験人数:1,555人  合格人数:434人  合格率:\(\,27.9\,\)%

●2018年3月
受験人数:1,715人  合格人数:457人  合格率:\(\,26.6%\,\)%

●2017年9月
受験人数:1,584人  合格人数:427人  合格率:\(\,27.0\,\)%

【財務分析】
●2019年9月
受験人数:1,276人  合格人数:387人  合格率:\(\,30.3\,\)%

●2019年3月
受験人数:1,361人  合格人数:362人  合格率:\(\,30.8\,\)%

●2018年9月
受験人数:1,243人  合格人数:352人  合格率:\(\,28.3\,\)%

●2018年3月
受験人数:1,193人  合格人数:312人  合格率:\(\,26.2\,\)%

●2017年9月
受験人数:1,155人  合格人数:488人  合格率:\(\,42.3\,\)%

【原価計算】
●2019年9月
受験人数:1,580人  合格人数:253人  合格率:\(\,16.0\,\)%

●2019年3月
受験人数:1,683人  合格人数:389人  合格率:\(\,23.1\,\)%

●2018年9月
受験人数:1,692人  合格人数:503人  合格率:\(\,29.7\,\)%

●2018年3月
受験人数:1,900人  合格人数:471人  合格率:\(\,24.8\,\)%

●2017年9月
受験人数:1,885人  合格人数:521人  合格率:\(\,27.6\,\)%

【財務諸表】過去\(\,5\,\)回の平均合格率は約\(\,25\,\)%で、非常に難易度の高い検定試験と言えます。
【財務分析】過去\(\,5\,\)回の平均合格率は約\(\,26\,\)%で、非常に難易度の高い検定試験と言えます。
【原価計算】過去\(\,5\,\)回の平均合格率は約\(\,24\,\)%で、非常に難易度の高い検定試験と言えます。
 

主催・試験実施団体

名称:一般財団法人 建設業振興基金 経理試験課
住所:東京都港区虎ノ門4丁目2番12号 虎ノ門4丁目MTビル2号館

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