日本語能力教育検定試験の日程や試験内容と独学に必要なテキストや過去問、気になる合格率をお伝えします。
日本語教育能力検定試験(JEES:Japanese language Teaching competency Test)は日本語教員になりたい人や、すでに日本語教育に携わっている人を対象に日本語教育の専門家として、必要とされる基礎的な知識や能力が水準にあるかどうかを検定することを目的としています。
資格または検定試験名(正式名称と通称)
日本語能力教育検定試験(民間資格)
受験資格
誰でも受験できます。
試験内容と受験対策方法
試験内容
試験の構成は\(\,3\,\)部に分かれています。
■試験Ⅰ(配点\(\,100\,\)点)
試験時間:\(\,90\,\)分
出題形式:マークシート方式
出題範囲より、日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定
■試験Ⅱ(配点\(\,40\,\)点)
試験時間:\(\,30\,\)分
出題形式:マークシート方式
試験Ⅰで求められる「基礎的な知識」と試験Ⅲで求められる「基礎的な問題解決能力」について、音声を媒体とした出題形式で測定
■試験Ⅲ(配点\(\,100\,\)点)
試験時間:\(\,120\,\)分
出題形式:マークシート方式・記述式
出題範囲より、熟練した日本語教員の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定
\(\large{\color{magenta}{\fbox{出題範囲の区分}}}\)
基礎項目(赤字)は優先的に出題されます。
※ただし、全範囲にわたって出題されるとは限りません。
\(\,1.\,\)社会・文化・地域
1.世界と日本
(1)諸外国・地域と日本
(2)日本の社会と文化
2.異文化接触
(1)異文化適応・調整
(2)人口の移動(移民・難民政策を含む。)
(3)児童生徒の文化間移動
3.日本語教育の歴史と現状
(1)日本語教育史
(2)日本語教育と国語教育
(3)言語政策
(4)日本語の教育哲学
(5)日本語及び日本語教育に関する試験
(6)日本語教育事情:世界の各地域,日本の各地域
4.日本語教員の資質・能力
\(\, 2.\,\)言語と社会
1.言語と社会の関係
(1)社会文化能力
(2)言語接触・言語管理
(3)言語政策
(4)各国の教育制度・教育事情
(5)社会言語学・言語社会学
2.言語使用と社会
(1)言語変種
(2)待遇・敬意表現
(3)言語・非言語行動
(4)コミュニケーション学
3.異文化コミュニケーションと社会
(1)言語・文化相対主義
(2)二言語併用主義(バイリンガリズム(政策))
(3)多文化・多言語主義
(4)アイデンティティ(自己確認,帰属意識)
\(\,3.\,\)言語と心理
1.言語理解の過程
(1)予測・推測能力
(2)談話理解
(3)記憶・視点
(4)心理言語学・認知言語学
2.言語習得・発達
(1)得過程(第一言語・第二言語)
(2)中間言語
(3)二言語併用主義(バイリンガリズム)
(4)ストラテジー(学習方略)
(5)学習者タイプ
3.異文化理解と心理
(1)社会的技能・技術(スキル)
(2)異文化受容・適応
(3)日本語教育・学習の情意的側面
(4)日本語教育と障害者教育
\(\,4.\,\)言語と教育
1.言語教育法・実技(実習)
(1)実践的知識・能力
(2)コースデザイン(教育課程編成),カリキュラム編成
(3)教授法
(4)評価法
(5)教育実技(実習)
(6)自己点検・授業分析能力
(7)誤用分析
(8)教材分析・開発
(9)教室・言語環境の設定
(10)目的・対象別日本語教育法
2.異文化間教育・コミュニケーション教育
(1)異文化間教育・多文化教育
(2)国際・比較教育
(3)国際理解教育
(4)コミュニケーション教育
(5)異文化受容訓練
(6)言語間対照
(7)学習者の権利
3.言語教育と情報
(1)データ処理
(2)メディア/情報技術活用能力(リテラシー)
(3)学習支援・促進者(ファシリテータ)の養成
(4)教材開発・選択
(5)知的所有権問題
(6)教育工学
\(\,5.\,\)言語一般
1.言語の構造一般
(1)言語の類型
(2)世界の諸言語
(3)一般言語学・日本語学・対照言語学
(4)理論言語学・応用言語学
2.日本語の構造
(1)日本語の構造
(2)音声・音韻体系
(3)形態・語彙体系
(4)文法体系
(5)意味体系
(6)語用論的規範
(7)文字と表記
(8)日本語史
3.コミュニケーション能力
(1)受容・理解能力
(2)言語運用能力
(3)社会文化能力
(4)対人関係能力
(5)異文化調整能力
対策方法
テキスト・参考書での独学
専門講座
通信講座
独学でも合格できる検定試験です。
日本国際教育支援協会より公式テキストや過去問題集は発売されていませんので、参考書籍を自身で選び揃え学習しなくてはいけません。
日本語能力教育検定試験向けの参考書や過去問題集はたくさん販売されています。
インターネットではなく書店で内容をしっかり確認して選ぶようにしましょう。
ただ、独学の場合はどうしても検定合格のための勉強になってしまいます。
日本語教師としてのしっかりとした基礎力身につけ働きたい、またはすぐに日本語教師として教える予定があるという人は、文化庁指針のカリキュラムを学習できる「日本語教師養成講座」等で勉強するのが良いでしょう。
検定対策(過去問解説・指導など)を含む\(\,420\,\)時間講座に通学または通信で学習するのが合格への近道で最善の選択かもしれません。
【主な参考書籍】
●日本語教育能力検定試験合格するための本
●日本語教育能力検定試験問題集
●日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識50
●日本語教育能力検定試験に合格するための用語集
●日本語教育能力検定試験に合格するための文法27
●日本語教育能力試験に合格するための記述式問題50
●平成29年度日本語教育能力検定試験試験問題
●平成30年度日本語教育能力検定試験試験問題
●考えて解いて学ぶ日本語教育の文法
●日本語教育のスタートラインー本気で日本語教師を目指す人のための入門書 など
試験頻度および日時や時期
年\(\,1\,\)回実施 \(\,10\,\)月
【願書受付期間】\(\,6\,\)月下旬~\(\,8\,\)月中旬(年度によりことなることもあります。)
受験案内は願書受付期間中に全国の主要書店にて販売
試験会場
札幌/仙台/東京/名古屋/大阪/広島/福岡 など
受験料
\(\,10,800\,\)円
過去数年の平均合格率および難易度
【平成\(\,28\,\)年度】
受験者数:\(\,4,907\,\)人
合格者数:\(\,1,231\,\)人
合格率:25.1%
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{1,231}{4,907}\times 100≒25.08(%)\)
【平成\(\,29\,\)年度】
受験者数:\(\,5,733\,\)人
合格者数:\(\,1,463\,\)人
合格率:25.5%
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{1,463}{5,733}\times 100≒25.51(%)\)
【平成\(\,30\,\)年度】
受験者数:\(\,6,801\,\)人
合格者数:\(\,1,937\,\)人
合格率:28.5%
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{1,937}{6,801}\times 100≒28.48(%)\)
過去数年の合格率は大きな変動はありません。
例年合格率は\(\,30\,\)%未満で低く難易度はやや高いと言えるでしょう。
主催・試験実施団体
名称:公益財団法人 日本国際教育支援協会
住所:東京都目黒区駒場4丁目5-29
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