知的財産管理技能検定2級の受験資格や日程、試験内容などの概要と合格率や難易度をお伝えします。
等級は1級、2級、3級の3つに区分されています。
独学の勉強法では公式テキストや過去問題を活用することが重要です。
知的財産管理技能検定は、企業や団体などにおける特許・実用新案・意匠・商標・営業秘密・著作物などの知的財産の管理や保護、活用を適切に行うことを目的としています。
資格または検定試験名(正式名称と通称)
知的財産管理技能検定 2級:(国家資格)
知的財産管理技能検定とは
知的財産管理技能検定は、「技能検定」制度の下で実施されている国家試験です。
※「技能検定」は、働く人々が働く上で身につけるまたは必要とされる技能の習得レベルを一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度です。
技能検定\(\,130\,\)職種の試験のうちの「知的財産管理」職種にかかる検定試験です。
職業能力開発促進法(厚生労働省所管)に基づいて実施され、企業や団体などにおける特許・実用新案・意匠・商標・営業秘密・著作物などの知的財産の管理や保護、活用を適切に行うことを目的としています。
知的財産管理技能検定 2級(管理業務)の合格に必要な技能およびこれに関する知識の程度
●知的財産管理に関する業務上の課題を発見し、
大企業においては知的財産管理の技能および知識を有する上司の指導の下で、
また、中小・ベンチャー企業においては外部専門家等と連携して、
その課題を解決でき、一部は自律的に解決できる技能およびこれに関する基本的な知識の程度
※引用:知的財産教育協会HPより
2級合格すると得られる国家資格の名称
合格すると「技能士」と称することができます(国家資格・名称独占資格)。
二級知的財産管理技能士(管理業務)
受験資格
\(\large{\color{orange}{\fbox{学科試験}}}\) \(\large{\color{magenta}{\fbox{実技試験}}}\)
学科試験と実技試験共通です。
いずれかの条件\(\,1\,\)つに該当すれば、試験の受検申請をすることができます。
また、下位の級から順番に受検する必要はありません。
●知的財産に関する業務に\(\,2\,\)年以上の実務経験を持つ人
●\(\,3\,\)級技能検定の合格者
※ただし、合格日が試験の行われる日の属する年度および前年度または前々年度に属するものに限られます。
●学校教育法による大学または大学院において検定職種に関する科目について\(\,10\,\)単位以上を修得した人
●ビジネス著作権検定(サーティファイ著作権検定委員会が実施)上級の合格者
※ただし、合格日が試験の行われる日の属する年度および前年度または前々年度に属するものに限られます。
●\(\,2\,\)級技能検定の学科または実技いずれか一方の試験のみの合格者
※ただし、合格しているほうの試験の合格日の翌々年度までに行われる技能検定に限られます。
※受験資格は細かく細分化されているので、必ず知的財産教育協会HPで確認してください。
試験内容と受験対策方法
知的財産管理技能検定は、学科試験と実技試験により行われます。
両方の試験に合格することが必要です。
学科試験か実技試験のどちらか一方のみ合格(一部合格)した場合は、次回以降はもう一方の試験のみ(試験免除制度)を受検することができます。
※試験免除制度は、知的財産教育協会HPで確認してください。
\(\color{orange}{\fbox{学科試験}}\) 主に業務上必要とされる知識を問う内容です。
\(\color{magenta}{\fbox{実技試験}}\) 主にその知識を発揮して業務上の課題を解決できる能力を問う内容です。
試験内容
\(\large{\color{orange}{\fbox{学科試験}}}\)
試験形式:マークシート方式 \(\,4\,\)肢択一式
問題数:\(\,40\,\)問
試験時間:\(\,60\,\)分
試験範囲:
\(\,1\,\)戦略
知的財産戦略に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)知的財産戦略(特許ポートフォリオ戦略、ブランド戦略、コンテンツ戦略)
(2)IP ランドスケープ
(3)オープン&クローズ戦略
\(\,2\,\)管理
\(\,2-1\,\) 法務
法務に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)営業秘密管理
(2)知的財産関連社内規定(営業秘密管理に関するものを除く)
\(\,2-2\,\) リスクマネジメント
リスクマネジメントに関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)係争対応
(2)他社権利監視
(3)他社権利排除
イ 情報提供 ロ 無効審判手続
\(\,3\,\)創造(調達)
\(\,3-1\,\) 調査
調査に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)先行資料調査
(2)他社権利調査
\(\,4\,\)保護(競争力のデザイン)
\(\,4-1\,\) ブランド保護
ブランド保護に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)商標権利化(意見書、補正書、不服審判を含む)
(2)商標事務(出願事務、期限管理、年金管理を含む)
\(\,4-2\,\) 技術保護
Ⅰ 国内特許権利化に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)明細書
(2)意見書提出手続
(3)補正手続
(4)拒絶査定不服審判手続
(5)査定系審決取消訴訟手続
Ⅱ 外国特許権利化に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)パリ条約を利用した外国出願手続
(2)国際出願手続
Ⅲ 国内特許事務に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)出願事務
(2)期限管理
(3)年金管理
Ⅳ 品種登録申請に関して基本的な知識を有すること。
\(\,4-3\,\) コンテンツ保護
コンテンツ保護に関して基本的な知識を有すること。
\(\,4-4\,\) デザイン保護
デザイン保護に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)意匠権利化(意見書、補正書、不服審判を含む)
(2)意匠事務(出願事務、期限管理、年金管理を含む)
\(\,5\,\)活用
\(\,5-1\,\) 契約
契約に関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)知的財産関連契約
(2)著作権の権利処理
\(\,5-2\,\) エンフォースメント
エンフォースメントに関し、次に掲げる事項について基本的な知識を有すること。
(1)知的財産権侵害の判定
(2)知的財産権侵害警告
(3)国内知的財産関連訴訟(当事者系審決等取消訴訟を含む)
(4)模倣品排除
\(\,6\,\)関係法規
次に掲げる関係法規に関し、知的財産に関連する事項について基本的な知識を有する
こと。
(1)民法(特に契約関係法規)
(2)特許法
(3)実用新案法
(4)意匠法
(5)商標法
(6)不正競争防止法
(7)独占禁止法
(8)関税法
(9)著作権法
(10)種苗法
(11)特定農林水産物等の名称の保護に関する法律
(12)パリ条約
(13)特許協力条約
(14)TRIPS協定
(15)マドリッド協定議定書
(16)ハーグ協定
(17)ベルヌ条約
(18)商標法に関するシンガポール条約
(19)特許法条約
(20)弁理士法
合格基準:満点の\(\,80\,\)%以上
\(\large{\color{magenta}{\fbox{実技試験}}}\)
試験形式:記述方式
問題数:\(\,40\,\)問
試験時間:\(\,60\,\)分
試験範囲:
\(\,1\,\)戦略
知的財産戦略に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)知的財産戦略(特許ポートフォリオ戦略、ブランド戦略、コンテンツ戦略)
(2)IP ランドスケープ
(3)オープン&クローズ戦略
\(\,2\,\)管理
\(\,2-1\,\) 法務
法務に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)営業秘密管理
(2)知的財産関連社内規定(営業秘密管理に関するものを除く)
\(\,2-2\,\) リスクマネジメント
リスクマネジメントに関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)係争対応
(2)他社権利監視
(3)他社権利排除
イ 情報提供 ロ 無効審判手続
\(\,3\,\)創造(調達)
\(\,3-1\,\) 調査
調査に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)先行資料調査
(2)他社権利調査
\(\,4\,\))保護(競争力のデザイン
\(\,4-1\,\) ブランド保護
ブランド保護に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)商標権利化(意見書、補正書、不服審判を含む)
(2)商標事務(出願事務、期限管理、年金管理を含む)
(3)地理的表示の保護
\(\,4-2\,\) 技術保護
Ⅰ 国内特許権利化に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)明細書
(2)意見書提出手続
(3)補正手続
(4)拒絶査定不服審判手続
(5)査定系審決取消訴訟手続
Ⅱ 外国特許権利化に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)パリ条約を利用した外国出願手続
(2)国際出願手続
Ⅲ 国内特許事務に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)出願事務
(2)期限管理
(3)年金管理
Ⅳ 品種登録申請に関して業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
\(\,4-3\,\) コンテンツ保護
コンテンツ保護に関して業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
\(\,4-4\,\) デザイン保護
デザイン保護に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)意匠権利化(意見書、補正書、不服審判を含む)
(2)意匠事務(出願事務、期限管理、年金管理を含む)
\(\,5\,\)活用
\(\,5-1\,\) 契約
契約に関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)知的財産関連契約
(2)著作権の権利処理
\(\,5-2\,\) エンフォースメント
エンフォースメントに関し、次に掲げる事項について業務上の課題を発見し、上司の指導の下で又は外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できること。
(1)知的財産権侵害の判定
(2)知的財産権侵害警告
(3)国内知的財産関連訴訟(当事者系審決等取消訴訟を含む)
(4)模倣品排除
合格基準:満点の\(\,80\,\)%以上
対策方法
テキスト・参考書での独学
専門学校・専門講座
通信講座
試験勉強は独学でも可能です。
基本的な用語や制度について理解しながら学習するのがポイントです。
基本知識をインプットし、過去問題でアウトプットし、間違った個所は再度基本に元って繰り返し、合格に向かって学習しましょう。
【学習のための公式テキスト】
知的財産教育協会HPには、学習用の公式テキストとして、知的財産教育協会編・監修の書籍が発売されています。
■知的財産管理技能検定 2級公式テキスト[改訂8版]
※この他にも関連書籍が紹介されていますので、知的財産教育協会HPで確認してください。
【過去問題】
知的財産教育協会HPより、過去問題として過去に実施された\(\,3\,\)回の検定の試験問題と正解が公開されおり、ダウンロードできるので活用しましょう。
また、全体として順序よくバランスよくまとまった講座を受講したり、通信講座を受けることも知識を安定的に身につける方法の一つです。
試験頻度および日時や時期
\(\color{orange}{\fbox{学科試験}}\) \(\color{magenta}{\fbox{実技試験}}\)
年\(\,3\,\)回実施 \(\,3\,\)月・\(\,7\,\)月・\(\,11\,\)月
試験会場
北海道・宮城・茨城・東京・神奈川・石川
長野・静岡・愛知・京都・大阪・兵庫
岡山・広島・香川・福岡 他
※各回によっても実施する試験の種類によっても、実施地区が異なるので知的財産教育協会HPで確認してください。
受験料
\(\color{orange}{\fbox{学科試験}}\) \(\color{magenta}{\fbox{実技試験}}\)
\(\,7,500\,\)円(非課税)
過去数回の平均合格率および難易度
\(\large{\color{orange}{\fbox{学科試験}}}\)
【\(\,2018\,\)年\(\,3\,\)月】
受験者数:\(\,2,297\,\)人
合格者数:\(\,846\,\)人
合格率:\(\,36.8%\,\)
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{846}{2,297}\times 100≒36.83(%)\)
【\(\,2018\,\)年\(\,7\,\)月】
受験者数:\(\,1,773\,\)人
合格者数:\(\,873\,\)人
合格率:\(\,49.2\,\)%
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{873}{1,773}\times 100≒49.23(%)\)
【\(\,2018\,\)年\(\,11\,\)月】
受験者数:\(\,1,850\,\)人
合格者数:\(\,997\,\)人
合格率:\(\,53.9\,\)%
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{997}{1,850}\times 100≒53.89(%)\)
\(\large{\color{magenta}{\fbox{実技試験}}}\)
【\(\,2018\,\)年\(\,3\,\)月】
受験者数:\(\,2,134\,\)人
合格者数:\(\,1,129\,\)人
合格率:\(\,52.9\,\)%
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{1,129}{2,134}\times 100≒52.90(%)\)
【\(\,2018\,\)年\(\,7\,\)月】
受験者数:\(\,1,488\,\)人
合格者数:\(\,707人\,\)
合格率:\(\,47.5\,\)%
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{707}{1,488}\times 100≒47.51(%)\)
【\(\,2018\,\)年\(\,11\,\)月】
受験者数:\(\,1,723\,\)人
合格者数:\(\,699\,\)人
合格率:\(\,40.6\,\)%
\(\displaystyle 合格率=\frac{合格者数}{受験者数}=\frac{699}{1,723}\times 100≒40.56(%)\)
過去数回の平均合格率は、学科試験では\(\,45\,\)%前後、実技試験でも\(\,45\,\)%前後です。
学科試験・実技試験ともに難易度はやや高いと言えます。
主催・試験実施団体
名称:知的財産教育協会
住所:東京都千代田区一番町23-3
⇒知的財産管理技能検定1級(特許)の受験資格や日程と試験内容および合格率
上級となる1級の特許専門業務はこちらで確認してください。
⇒ 知的財産管理技能検定の受験資格や日程と合格率および公式テキストと過去問
知的財産管理技能検定の全て\(\,3\,\)つの試験区分(1級・2級・3級)はこちらで確認できます。
⇒司法・法務に関する資格一覧 就職や独立開業、キャリアアップに有効!
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