造園業・大学の研究所・農林業関係・植栽業などさまざまな方面での活躍が期待されている樹木医の資格取得に必要な研修内容・期間・費用や試験内容、気になる合格率と難易度についてお伝えします。

資格または検定試験名

樹木医:(民間資格

※樹木医の対外的な信頼性を確保し、確かな技術で社会に貢献する責務を果たしていくために、\(\,5\,\)年毎の登録更新が義務化となっています。

樹木医とは

樹木医は、樹木の調査・研究・診断・治療・公園緑地の計画や設計監理などを通して、樹木の保護・育成・管理や、後継樹の育成に関する知識の普及や指導などを行う専門家で、「樹木の医師」もいえる存在です。

巨樹や古木林は「緑の文化財」として親しまれていますが、環境の悪化や病虫害などによって樹勢の衰えたものが多く存在し、適切な保護が急がれている今、樹木医の資格を持つ人は、造園業・大学の研究所・農林業関係・植栽業などさまざまな方面での活躍が期待されています。

受験資格

■樹木の調査・研究、診断・治療、保護・育成・管理、公園緑地の計画・設計・設計監理、苗木の生産などに関する実務や研究に従事した期間が通算して\(\,7\,\)年以上の人
【該当する人】
1. 大学および研究所の教職員、研究員・大学院生(林学、農学、造園学、園芸学 など)
2. 国、地方公共団体の農林・緑化関係職員
3. 農林業・緑化関係の公益法人、会社の役職員
4. 農林高等学校、専門学校の教職員
5. 造園業、植木生産業、農業(果樹栽培等)、林業(伐木作業は除く)などの従事者等

■樹木医補で、認定後の業務経験が\(\,1\,\)年以上の人
【樹木医補とは】
補資格養成機関として認定を受けた大学等において指定分野の科目を履修・取得し、卒業した人が、資格認定に必要な書類をそろえて申請することで、認定を受けられます。

※第\(\,1\,\)次審査合格後、第\(\,2\,\)次審査として研修がおこなわれますが、次年度に研修を持ち越すことはできないので、日程をしっかり確認してください。

試験内容

第1次審査
樹木医研修受講者選抜試験(筆記試験・業績審査)
樹木医に必要な知識及び技術についての樹木医研修受講者選抜試験を行い、研修の受講者(\(\,100\,\)名~\(\,110\,\)名)を選出します。

【筆記試験】
樹木医が備えるべき一般教養(倫理を含む)、樹木医研修科目に関係する専門分野のほか、高等学校卒業程度の生物の知識などから幅広く出題されます。

■択一式試験(午前):\(\,100\,\)分
※択一式の問題の正答率が5割に満たない場合、原則として当該応募者の論述式の答案は審査対象とせず採点を行いません。

■論述式試験 3問(午後):\(\,90\,\)分
※樹木医として総合的にバランスのとれた知識・技術・文章能力を審査するため、\(\,3\,\)問すべてに答えることが必要です。

【業績審査】
応募の際に提出した書類により行います。

第2次審査
●研修(13日間)
第1次審査(樹木医研修受講者選抜試験)の合格者が受講することが出来ます。

研修は、「最新・樹木医の手引き 改訂4版」を事前に学習していることを前提として講義が行われるので、研修前までに各自で予習が必要です。
※「最新・樹木医の手引き 改訂4版」は日本緑化センターHPから購入することが出来ます。

【研修内容】
1. 樹木の分類(講義)
2. 樹木の生理(講義)
3. 樹木・樹林の生態(講義)
4. 樹木の構造と機能(講義) 
5. 樹木保護に関する制度(講義)
6. 土壌の診断(講義と実習)
7. 病害の診断と防除(講義と実習)
8. 虫害の診断と防除(講義と実習)
9. 腐朽病害の診断と対策(講義と実習)
10. 大気汚染害の診断と対策(講義)
11. 気象害の診断と対策(講義)
12. 後継樹木の育成と遺伝子保存(講義)
13. 幹の外科技術と機器による診断(講義と実習)
14. 樹木の移植法(講義)
15. 植栽基盤の調査・判定と土壌改良(講義と実習)
16. 総合診断[診断に必要な知識と実践](講義と実習)

●研修期間中に実施する筆記試験と面接試験
【筆記試験(原則、講義・実習の翌日の講義開始前に実施)】
・研修受講者が樹木医として必要な高度の専門的知識及び技術を習得したか否かが判定されます。
・研修期間中に研修科目16科目について筆記試験が行われ、樹木医として必要な知識や技術の修得状況が確認されます。

合格基準:合格点を\(\,60\,\)点以上(\(\,100\,\)点満点)
不合格科目数が\(\,3\,\)科目以上の場合は、総合的な判定に関わらず不合格となります。

【適性試験】
・\(\,16\,\)科目の筆記試験とは別に、樹種の識別に関する適性試験も\(\,1\,\)回実施されます。

【面接試験(樹木医としての適性などを判定)】
研修の最終日に研修受講者全員を対象に行われます。

資格審査:結果に基づいて樹木医制度審議会による審査を行い、総合的評価に基づき合格者を決定

試験頻度および日時や時期

年\(\,1\,\)回実施

【樹木医研修受講者選抜試験】\(\,7\,\)月下旬

【研修】\(\,9\,\)月下旬~\(\,10\,\)月下旬

※第\(\,1\,\)次審査合格後、第\(\,2\,\)次審査として研修がおこなわれますが、次年度に研修を持ち越すことはできないので、日程をしっかり確認してください。

試験会場

【樹木医研修受講者選抜試験】全国\(\,5\,\)会場(仙台・東京・名古屋・大阪・福岡)

【研修】(一財)筑波学都資金財団 筑波研修センター 
住所:茨城県つくば市天久保1-13-5
※実習は近隣の大学や研究施設、国立科学博物館筑波実験植物園等を利用

受験料

【樹木医研修受講者選抜試験】
・樹木医補の認定を受けていない人  \(\,18,000\,\)円(税込)
・樹木医補の認定を受けている人  \(\,15,000\,\)円(税込)

【研修】\(\,99,000\,\)円(税込)+「最新・樹木医の手引き 改訂4版」\(\,9,350\,\)円
※往復の交通費・宿泊費等が別途必要

合格率および難易度

合格率は約\(\,20\,\)%難易度が高い資格と言えます。
 

主催・試験実施団体

名称:一般財団法人 日本緑化センター
住所:東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル2F

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